トントントン
重いドアを開けると、中には数人の体育教師がいるだけだった。
「おぅ、岡崎!捻挫は大丈夫か?今日は、バドミントンするぞ!お前は、見学しておけよ!」
「はい」
―――いなかった。
ドアを開けた瞬間、杏子がいて欲しかった人物はいなかった。
いつものように更衣室へ行き、みんなに授業内容を伝えて、急いでジャージに着替える。
いつもと変わらない体育の授業を見学する杏子の視線の先には、杉村がいた。
―――今日は体育館でよかった・・・。
もし、男女で同じ場所だったら、あの噂話を聞きたくなくても聞くことになりそうだから、安心した。
―――男子は外でサッカーかぁ・・・。
『サッカー』と自分の頭で浮かべた瞬間、球技大会の時の光景が目の前に広がった。
必死にボールに食らい付く健一と黒谷。
どちらも譲ることのない勝負は、ドローとなっていた。
あの日と同じように外は晴れ、眩しいくらいの太陽が注いでいた。

