「佳祐、一緒にご飯食べよ!」


何も知らない美穂が佳祐を昼食を一緒に食べようと誘いに来ていた。


「はぁ?加藤と食えば?」


―――こいつまだ怒ってるのか?結構、嫉妬深いんやな。


健一は、初めて見た佳祐の姿を観察するように見ていると、美穂も慌てて弁解した。


「佳祐、何言ってる・・・あっ!あれは、英語の和訳を見せてもらっただけやし」


―――江坂さんの言うことはおかしくないよな。


それでも佳祐の表情は変わらなかった。


「それにしても、普通まず俺とかに聞かね?」


―――お前が予習なんてしてきたことあったか?しかも数学ならまだしも、英語なんて全然できないやろ。



「じゃあ、聞くけど、佳祐は予習してたん?」


美穂も健一と同じように思ったらしく、冷静に聞いていた。


「してない」


―――だろうな。


「でしょ?」


「・・・・・・」


美穂の言葉に、佳祐は言い返すことができなくなっていた。


「江坂さんの方が一枚上手やな」


健一は、二人の様子を見ていると、自然と笑みが零れていた。


―――この二人、本当に面白いよな。


健一が二人の様子を見ていると、教室がザワザワし始めた。


「眞中くんが笑ってる〜!」


ある子が言い出したことにより、いつも以上に女子たちが寄ってきた。


―――俺だって笑うっちゅーねん!


「眞中くん、ご飯食べよ〜!」


―――杉村、お前よくも普通の顔して来れるな・・・神経が図太過ぎるやろ・・・。


健一は、いつものように「佳祐と飯食うから」と言い、群がってくる女子から抜け出した。