「岡崎さんって彼氏いてないの?」


「いたら、いいんやけどね。黒谷くんは?」


杏子は、黒谷に彼女がいるかどうかなんて別に興味なかったが、聞くことにした。


「俺も彼女いてないよ」


「へー、いてそうやのにね」


―――なんか、意外。


黒谷は、背も高く、爽やかだから、モテるだろうし、彼女がいるように思っていた。


―――まぁ、彼女がいたら、私と並んで歩かんよな。



杏子たちは、中学時代の話や好きな食べ物の話などたわいもない話をした。


話をしている間、黒谷が自分の方を向いていると感じたら、杏子も目を合わせた。


そうすると、黒谷は嬉しそうに笑っていた。


そんな穏やかな空気を一変させる人物が近づいていたことに二人は気づいていなかった。