桜が舞い散る中、憧れの制服に身を包み、岡崎 杏子(オカザキ キョウコ)は、憧れの高校の門をくぐった。


担任から「厳しいな」と言われた中学2年の終わりから必死で勉強し、この高校に入学することができた。


まだ肌寒さが残る体育館には、400人あまりの新入生とその父兄、この学校の教師が集まっている。


真新しい制服に身を包んだ新入生は、緊張した面持ちで入学式が始まるのを待っていた。


杏子は、友達ができるかどうかや、授業についていけるかどうかを心配していた。


同じ中学から入学したのだろうか、仲良く話している人たちもいる。



周りを見渡しながら、まだ式が始まらないかと思っていた時、隣に座っていたショートカットできれいな二重の大きな目が特徴の女の子に声を掛けられた。



「私、江坂 美穂(エサカ ミホ)よろしくね」



爽やかな笑顔と、サバサバした話し方に杏子は好印象を持った。


杏子は、同じ中学からの友達が誰もいなかったので、仲良くなることができそうな子がいて、安心していた。


「私は、岡崎杏子。よろしくね」



美穂と同じように自己紹介をするとニッコリと笑った。



入学式が始まると、退屈な話が続いた。


話の内容など頭には入っていなく、杏子はぼんやりと体育館の天井などを見ていた。



「・・・・・・悔いのない高校生活を過ごすようにしてください」


ようやく終わった校長の話に、体育館中から溜息がこぼれていた。