でも…まさか、蓮斗から話しかけてくるなんて。
もう夢でも嬉しい。
…現実なんだよねぇ。
「何、にやけてんの」
ぅえっ…
やば、私にやけてたんだ。
いや、そりゃにやけるよね。
大好きな人がいるんだもんね。
「いやぁ…まさか、蓮斗がここに…うふ」
…「うふ」とか言っちゃったよ私。
我ながらきもい。
「そんなに好きなんだ?」
ニヤッと笑って聞いてくる蓮斗。
そ、そりゃもう言葉になんてできないよ。
「す、好きです…」
何告白しちゃってんのよ〜照れる!
すると、蓮斗が帽子を外して私に近づいてきた。
え?え?何?
ていうか帽子まで外したらまずくない?
もう蓮斗じゃん!!
なんて考えていると、温かいものに包まれた。
…すごくいい匂いがして。
とろけてしまいそうで。
「って…ええっ?!」
私、蓮斗に抱きしめられてるの?!
「静かにして」
私の耳元で囁く声はテレビで聞くような優しい甘い声で。
私は言われたとおり黙る。
やっぱり、これは夢なんじゃないか。
そう思った。

