「桜ッス。

小樽築港駅からチャリで5分くらいなんですよー。」




聞いてみれば、近いって程近くはない。


距離にして駅3つ分。


だけどこの距離は、信明先生にとってはまだ近い距離なのだと言う。




「高校の時はずっとチャリで通学してましたから。

銭函だと、さすがにチャリ通は厳しいッスよね?」




サッカー部で鍛えた体力があれば、自転車で銭函まで来る事が可能なのだろうか?




私を助けてくれたあの日も、彼は自転車に乗っていた。


そしてその後ろに、初対面の私を乗せて家まで送ってくれたのだ。