「優香先生の実家は小樽のどの辺なんですか?」




信明先輩が私に聞き忘れた事。


それは、保育に関する事じゃなく私自身に関する事だった。




―――この地名を伝えれば思い出してくれるかな・・・?




わずかな期待を込め、私は自分の実家のある地域を彼に教えた。




「銭函です・・・。」




札幌市内から程近い、小さな駅のある寂れた地域。


広い小樽市の端っこ。


そんな僻地から、私は市街地から程近い地域にある高校まで通っていた。




「あっ、銭函なんですねー。

俺の実家から割と近いッス!!」




「えっ?そうなんですか!?」




ずっと知らなかった彼の実家。


彼の口から告げられたその地名は・・・。