【完結】ホイクメン!

「優香・・・?」




ブーケを持つ左手。


だけど右手は空いたままだった。




何もない右手を優しく包み込む信明の手。


その手はとても温かくて、少しずつ緊張が解かれていくような気がした。




「そのブーケ、清香ちゃんが作ってくれたんだって?」




「あっ、うん・・・!!」




清香は高等養護学校を卒業後、札幌の郊外にある花や野菜を栽培する施設で働き始めた。


そこで草花に興味を持った清香は、施設職員からフラワーアレンジメントを習い、今日のために綺麗なブーケを作ってくれたのだ。




私が大好きな百合の花。


その周りには小さなカスミソウを散りばめて。




「まるで、保育士と園児・・・。

清香ちゃんは保育士として働く優香の事、ちゃんと理解していたんだな。」