もうあと数分で完全に陽が落ちる。




このまま夜を迎えてはいけない。


きっと夜更けと共に、この海岸は悲劇の場所へと変わるから・・・。




何の根拠もないただの直感。


だけどここは私たちにとって良い思い出のある場所ではない。




「葵・・・!?そこにいるのか?」




急に信明が声を上げる。


私が「葵さんがいる」と言って指差した、消波ブロックが積まれた防波堤の方に向かって・・・。




「俺・・・、やっと気持ちを伝えたよ!

彼女が・・・ずっと好きだった優香だ。

お前の弟の友達だったよ。

まさか彼女が、こんなにも俺たちに近い存在だったなんてな・・・。」