見えない力による抑制を拒み、少しずつその距離を詰めていく。




葵さんの表情は変わらない。


自然と引き寄せられていく私の足。


だけど思うようにこの足は動いてくれないから、私は勢いよく自分の体を前に倒した。




「きゃっ・・・!!」




私を抑えていたはずの力が急に消えた。




進行方向へとよろけた私。


バランスを崩した体は勢いよく前へと飛び出し、視界に見えたのは石狩湾の海面・・・。




「危ないっ・・・!!」




間一髪のところで掴まれた腕。


背後から信明が私の体を引き上げてくれたが、あと数秒遅かったら・・・。