「あ・・・、日が沈んじゃう・・・!!」




もう間もなく太陽が水平線に隠れてしまう。


私は歩きにくいパンプスと靴下を脱ぎ、裸足のままビーチを走り出した。




「おい・・・!?優香っ!!!!」




何かに取り憑かれたように走り出した私。




海辺の風の音に紛れて聞こえた微かな囁き。


まるで私たちの事を呼んでいるような・・・。




―――葵さんが呼んでいる・・・!?




信明にはこの声が聞こえないのだろうか?




実際に耳には聞こえないけど、心に直接呼びかけるようなか細い声・・・。


現実の出来事とは思えない不思議な現象に引き寄せられるまま、私は葵さんが亡くなった場所である消波ブロックのある海岸へと急いだ。