玄関のドアが開けられ、その数秒後にやってくる静寂。


マンションの廊下を歩く足音がフェイドアウトしていった後には、家電類から聞こえるわずかな電子音しか残らない。




「どう・・・して・・・!?」




何故彼がこの家を出て行ってしまったのか。


その理由は不可解なままで、私は呆然とリビングの壁を見つめた。




私はありのままの事実を伝えただけ。


なのに信明は、逃げるかの如くこの場を去った。




准一の存在、葵さんとの過去、そして高校生の頃私を助けてくれたという事実・・・。




全く関係ないと認識していたはずの出来事が全て繋がった。


パーツが欠けていたパズルは、もう9割以上完成している。




だけど、これでもまだ何かが足りないと思うのは気のせいだろうか・・・?