妄想でしかないのに不安になる。




気さくに絡んでくれる信明に期待していたけれど、それは彼が私を“高校時代の後輩”として他の同僚たちよりも親近感を抱いているが故の事なのではないか。


過剰な期待をすれば、きっと彼の本心を知った時のショックが大きくなる。


それならば、これ以上彼に期待せず様子を伺っていくしかない。




右側からズルズルとカフェオレを飲み干す音が聞こえる。


空っぽになったチルドカップをゴミ箱に捨て、再びフロントガラス越しに夜空を眺める信明。




「ちょっと早いけど、そろそろ行くかぁ。」




信明は車のエンジンを掛け、ハンドルに手を乗せ駐車場から車を出す。


オーディオのデジタル時計は“20:45”と時刻を表示している。




外はすっかり暗くなっていた。


私たちの上空は晴れ渡り、天の川の星々がキラキラと瞬いている。