【完結】ホイクメン!

「あ・・・。」




さっきまで実花先生と話していた席と同じ場所。


帰宅準備を済ませた信明は、変わらずそこにいて「お疲れ!」と私に手を振っている。




―――もしかして、私の事を待っていてくれた・・・?




期待過剰かもしれない。


だけど、彼は真っ先に私を見つけて声を掛けてくれた。




「長瀬に連絡しといたから。」




「え・・・?ああ・・・。」




お芝居はまだ続いている。


だけど実花先生が帰った今、もうそんな茶番を続ける必要はないのに・・・。




「急いで支度してきてね?」




この言葉を都合良く言い換えれば、“待ってるから”という意味になるのかもしれない。




胸が高鳴り顔が緩んでくる。


嬉しい気持ちを誤魔化すかのように、私は急いでロッカールームに駆け込んだ。