「少し歩かなきゃいけないけど、俺の実家に車停めてっていい？」




小樽市内に入った頃、准一が車の駐車場所を確認する。




銭函市街には駐車スペースが少なく、海水浴客の多いこの時期はピーチ周辺の駐車場もほぼ満車。


それならば同じ地区にある実家に車を停めていく方が当然利口だ。




「いいよ。

歩くって言っても15分くらいでしょ？」




私が快諾すると、彼は国道を右折し銭函市街へと続く道道へと入っていく。




銭函駅に近いコンビニの裏にある准一の実家。


彼は中学生の頃からここに住んでいる。




「あ、じいちゃん出掛けてるからスペース空いてるわ。」




准一は普段おじいちゃんが車を停めているスペースに自分の車を停め、早速駅の方向へと向かい歩いて行く。