捕らえて離さないで

悠仁の話しによると

四聖獣はここ近畿では結構有名な暴走族らしくて

今の時代暴走族なんてって思ったけどそれは言わなかった

各地にそれぞれ

東に青竜、西に白虎、南に朱雀、北に玄武と4つのチームがあって

この4つのチームをまとめて四聖獣というらしい

そしてこの四聖獣のトップにいるのが

工藤結都

本当にこんな奴が暴走族のトップなの?って疑いたいけど

どうもみんなから信頼され慕われているらしい

四聖獣のことを分かりやすく教えてくれた悠仁は青竜の総長さんらしくて

この部屋にいるみんなもそれぞれの総長さんなんだそうだ

さっきの白髪くんは宮川稀寿って名前でなんともまぁ私と同い年

あの時は怖かったけど実際は優しかった

結都に捕まっている私に

「ごめんな、ワガママな奴で」

と申し訳なさそうにアップルジュースをくれた

そして私の目の前でぴょんぴょんとはしゃいでいる赤髪パーマは井上雷斗

「すっげぇー‼︎俺、はじめて見たわっ‼︎結都が女といんのはじめて見たわっ‼︎」

とさっきからバカみたいにはしゃいでいる

「雷斗、そろそろ黙れ」

としびれを切らしているのは

筋肉ムキムキで茶髪アシメの柴田瑞稀

雷斗はとりあえず人懐こい

二カッと笑うと見える八重歯がすごく印象的で動物に例えると猫って感じの奴

瑞稀は身体つきが人より良過ぎるせいで怖く思えるけど本当のところはびっくりするほど女々しい…

雷斗が静かになったと思えば今度は瑞稀が

「琉華ちゃんだっけな?
ちょっといいか、女の子って…」

と急に恋愛相談を持ち出してきた

ギャップ激しすぎるっしょっ‼︎

ってツッコミたい気持ちを抑え懸命に相談にのる私に後ろで結都がククッと笑いを堪えてる

失礼な奴。私だって相談の1つや2つのれるわよっ‼︎

みんなパッと見はすごく怖いけど関わってみるといい人ばかりで本当にこの人達が族の総長なの?って思う

稀寿は白虎で雷斗は朱雀、瑞稀は玄武

正直、暴走族ってどんなのかよく分からないけど危険なものってのは分かる

意外にもみんなは私と同じ高2

そんな危ないことしてて大丈夫なのかって少し心配になる

あれ?

ちょっと待ってよ…?

確か結都って工藤グループの御曹司だったよね

御曹司が暴走族のましてやトップなんてやってて大丈夫なの?

「ねぇ」

私は気になってさっきから私の髪をもてあそぶ結都に聞いてみる

「御曹司が暴走族やってて大丈夫なの?」

「はぁ?」

「工藤さんに秘密にしといてほしいならそうしてあげるよ?」

思わぬところで結都の弱味を握れたと少し有頂天になる私

これでおあいこだなんて思ってると

「親父は四聖獣初代トップだ」

……?

今なんと…?

工藤さんが初代トップですと…?

「えぇーっっっ‼︎」

「うっせぇ、耳元で騒ぐな」

「だって、だって‼︎」

「ウチのグループの社員はほとんど元四聖獣の奴だ」

嘘でしょ…

最近急成長を遂げてると有名な工藤グループの代表が元暴走族。

そして社員もほとんどが元暴走族。

ありえない…どうなってんのこの世の中‼︎

受け入れ難い現実にうなだれると

「ちなみにこいつらもそれなりの家柄の奴だ」

もう驚くにも驚けなくなる

何が当たり前なのか分からない

いや、最初からこの世の中に当たり前なんて存在してないのか…。

「琉華っ‼︎こっち来てゲームしよーぜ‼︎」

テレビの前で雷斗がぴょんぴょんと楽しそうに私を呼ぶ

雷斗もどこかの御曹司なんだね…

なんか信じられないというか複雑だわ

「結都、いって来ていい?」

「ん?俺もいく」

そう言って降ろしてくれたのは嬉しいけども…

どうして手をつなぐ必要が?

まぁ、もうどうでもいいや

父さん以外の男の人にこんなにも触れられるのは始めてだけど

不思議と結都に触れられてると安心する

もしかしたら知らないうちに自分の身体が母さんの温もりを思い出しているのかもしれない

そんなことを思い苦笑いを浮かべる

雷斗と結都と私でゲームに夢中になってはしゃいでいると

「琉華ちゃん、時間大丈夫?」

ゲームに夢中になりすぎてすっかり時間の事なんて忘れてた

時計を見ればもうすぐで7時になろうとしていた

正門で悠仁と会ってここに連れて来られてから早3時間も経っていた

「本当だそろそろ帰るね」

帰る支度を済ませ帰ろうとすると

「送ってく」

結都がバイクの鍵を持って立ち上がろうとしていた

「えっ、いいよ。1人で帰れる」

車に乗って来たときに外の景色を見ていたからここがだいたいどこなのか分かるし

「こんな時間に女1人で帰せるか」

こんな時間ってまだ7時ですけど?

「でもっ…」

私の言葉を最後まで聞かず結都は手を握って部屋を出て行った。