新学期が始まって早1週間

相変わらず紗良は元気で学校のお嬢様方も元気です

何も変わったことなんてありません

まぁ、唯一変わったことといえば

「だぁーーーー‼︎‼︎
なにこの書類っ‼︎意味分かんないっ‼︎」

私が生徒会長になり日々頑張っているということくらいかな?

毎日毎日わけの分からない書類に目を通して

必要とあらばサインやらなんやらしないといけない

ただでさえ家の仕事で大変なのに…

「紗良ぁ…。助けてー」

「さぁー頑張って会長さん♪」

助けを求めた私がバカだった

一応副会長の紗良は側には居てくれるものの何もしない…

浅田さん曰く副会長の仕事は

主に会長のサポートらしいけど

全っ然サポートされてる気がしないっ‼︎

隣で優雅に紅茶を飲む紗良

本当、可愛い…

「私も紅茶飲みたいな?」

「はぁ?紗良に作れって?
自分で作りなさいよね」

前言撤回っ‼︎全く可愛くないっ‼︎

可愛いさの欠片もねぇーはこの女っ!

そんなこんなで今日も1日が終わり下校の時間

私と紗良は住んでる地域が同じな為小さい時から登下校は一緒

だけど今日は寄りたいところがあるし紗良には先に帰ってもらおう

「私寄るとこあるから先帰ってて?」

「どこ行くの?紗良この後何もないし一緒に行こうか?」

「いいよー遅くなるし先帰って」

「りょーかい。気をつけてねー
それじゃ、また明日」

いつもなら紗良について来てもらうけど今日はそういうわけにはいかない

もう少しで紗良の誕生日

紗良には内緒でプレゼントを買いたかったから

いつも行くデパートや雑貨屋さんは紗良ともよく行くから今日は少し遠出してみよ♪

私は紗良のプレゼントを求めて1人で隣街まで来た

1度も来た事がないからどこに何があるのかサッパリ

商店街らしきところをブラブラしてると

紗良が好きそうなお店発見っ‼︎

わぁーこの服、紗良に似合いそう

これに決めたっ‼︎

即決しレジへ向かう途中に

花柄がモチーフの可愛いマグカップを発見

マグカップに一目惚れしそれも即決で購入

私は基本あまり迷わず、手に取った物を即決で決めていく

どうしても迷った場合はどちらも買う

これが琉華的買い物ルール

「ふっふーん♪いい買い物が出来たー」

ルンルンで店を出て腕時計を見ると

「げっ…もう8時回ってるじゃん」

早く帰らないと

そう思い早歩きで帰ろうとしたとき

ガシッ…

「ぅおぇっいっ…」

後ろから勢いよく手を掴まれた

「ねぇねぇ、これから一緒にどっか遊びに行かない?」

振り返るといかにもチャラ男な男が2人

いわゆるナンパだなこりゃ

「……」

掴まれてる腕を振り払いひたすら歩く

「ねぇってばー」

しつこい

「いっ…てめぇ‼︎」

またもや後ろから伸びてきた男の手を私は掴みひねり上げた

痛みに顔を歪めているチャラ男くん

「てめぇ‼︎女だからってナメてんじゃねぇぞっ‼︎」

もう1人のチャラ男くんが飛びかかってきたけどすかさずよけて背後から思いっきり蹴った

すると男は地面に顔面からダイブ

手を掴んでた男が降参したのか

「はなっ…して…くだ…さい」

弱々しく呟いてる

男の腕を掴んでることを忘れて派手に動いたせいかさっきよりも酷く顔を歪めてる

「女だからってナメないで」

そう言い放ってチャラ男くんを解放してあげると

倒れてるチャラ男くんを連れてそそくさと逃げていった

「またやっちゃった…」

家のこともあるから派手な行動は慎めって言われてるのにな

短気な私はすぐこうして相手に手を出してしまう

まぁ、正当防衛といえばそうだけど

誰も見てませんように…

と、願いながら周りを見渡してみる

よっし。誰も見てな…えっ…?

暗くてよく分からないけど私は今、確かに誰かと視線を合わせてる

数メートル離れてるのになにこの感じ

誰だかサッパリ分からないのに

その人から目を逸らしてはいけない気がする

しばらくこのままの状態でいた

チャララララー

携帯の着信音にハッとして一瞬視線を逸らしてしまった

すぐに見てた場所を見たけどあっという間にその人は居なくなっていた

「もしもし…うん、分かったすぐ帰る」

電話の相手は執事の山田だった

あまりにも私の帰りが遅かったのであろう心配でかけてきたらしい

それにしてもさっきの人は誰なんだろう

今まで感じたことのない独特な雰囲気

私の知り合いにそんな人はいない

私の全てを見透かしてしまいそうな瞳

野性的本能というのだろうか

直感的に関わってはいけない

あの人に関わると私の人生めちゃくちゃにされそうな気がした

けれど心のどこかであの人は誰なのか

もう一度会いたいと思う自分がいた

きっと私はあの瞳で自分自身の全てを見てほしかったのかもしれない

それがどんなに愚かなことかも知らず