私は一瞬遅れて理解した。

キ、キスされてる

「やめて!」
体を思いきり突き返す。
そして、すかさず離れる。

するとあいつはとびきりの笑顔で言った。

「ごちそうさま。可愛い子猫ちゃん。」

「あ、ありえない…。初めてだったのに…。」

最悪だ。ファーストキスがこんなかたちで。
顔の火照りは消えないが、問いかけてみる。

「なんで…こんなことするの?」
「ん?俺さ、なんか突っかかってくる子、嫌いじゃないんだよね。」

…ハア? 答えになってないし!

「でもさー、俺のためにMになってくんない? いじめたい。」
「丁重にお断りします!! ではっ!」

私は一目散にその場から逃げた。


平凡に過ごしたかった私の高校生活。
波瀾万丈の予感です。