30秒ほど停止した私の頭はようやく回転し始めた。

「な、なんなんですか!意味わかんない。」
「まあまあ。」
何が『まあまあ』だっっ!

名前も知らない人にそんなこと…。
あ、名前聞いてない!

「あんたこそ名前は?」
「ああ、俺は桐原 蓮人(きりはら れんと)。よろしくね、ななちゃん。」

うえーーー。まじなんなの!?
ちゃん付けされた。嫌だ。


頭の整理がしきれず、下を向いていると上から声がした。

「ねぇねぇ、上みてみ?」
「…もう、なんなの!?」

思いきり顔をあげる。ーー―ー!?!?
「ーーんっ!? ふっ…」

唇に柔らかいものがあたる。
そして目の前にはあいつの顔。