恋愛奮闘記



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「…じゃあまだ開店のメドはたたないんですね」



店長の声が静まり返った夜の店内に響いた。

テレビのニュースを見る限りでは、今回の台風で大きな被害を受けた所の修復はかなり進んでいる。

だんだんとその報道自体減ってきている中、お店の修復はなかなか進んでいなかった。



「お願いします。一刻も早く営業再開したいんです。はい、じゃあまた連絡します」

電話を終えた店長が溜息を吐く。
すかさず橘さんが話しかけた。

「どうでしたか?管理会社の反応は」

「全然ダメ。いつになるかわからない、対応に追われてるってそればっかりで。
…どうもおかしい気がするのよね」

「おかしいって…?」

「いや、考えすぎだとは思うんだけど。お店の修復に協力的じゃないように感じられるの。こっちが焦ってるから余計に対応が遅く感じるってのはあると思うけどね」

「そんな…」



今、店内はかなり元通りになっている。
壊れた器具も新しく発注し直し、綺麗なものが届いているし、仕事をするのは何も問題なさそうだ。

だけど外見に問題がある。
壁にはブルーシートがかけてあり、新しい窓はまだはめ込まれていない。
そのせいか、お店が入っているビルの管理会社からの営業再開の許可がおりない。
窓の修復はビルの責任になるため、私たちではどうすることも出来ない。