お昼頃。
店内を掃除していたら店長がみんなに声をかけた。
「みんな、一旦休憩してお昼にしよう。それでまた午後から頑張ろう」
「はい!」
「もうこんな時間か。気付かなかったなあ」
「みんな、無我夢中でしたね」
声を掛け合いながら近くの定食屋さんに向かった。
席につき、それぞれ注文をすませる。
そこで岩佐くんが言った。
「皆さん、そこのテレビで台風の被害やってますよ」
みんなが一斉にテレビの方を向く。
そこに映っていた映像は大変なものだった。
民家の屋根が吹き飛んでいたり、畑や田んぼが全滅している地域があったり。学校も休校のところが多いらしい。
「…お店のことなんだけどね」
店長が口を開いた。
「さっき、色んな業者に電話してみたの。そしたら、このあたりの被害が特に酷いらしくて…。
お店の修復、思ったより時間がかかるかもしれない」
全員が息をのむ。
「出来たら一週間ぐらいで再開出来たらと思ってたんだけど。
外装は完璧に直らなくても営業出来るとして、あの窓ガラスはどうにかしないといけない。それがちょっとね…。すぐには無理そうらしいの」

