「良、お疲れ~!待ってたよ!」
俺は声の主を無視して歩き出す。
すると腕をがっしり掴まれた。
「ちょっと!何無視してんの!?待ってたって言ってんじゃん!」
「うるせぇ、離せ」
「いやだ!こないだ電話かけた時も無視してかけなおしてくんなかったし、私なんかした?」
…なんかした?じゃねぇよ…
もう話すのも鬱陶しい。
「昨日、ご飯行こうってメールもちゃんとしといたじゃん。見てくれたよね?返事ぐらい返して欲しかったな。
いいレストラン見つけたんだぁ」
「行かない。俺は帰る」
しかし彼女は諦めない。
「どうして!?ねえ、良!
一緒にご飯行こうっていってたのに!ちょっと、聞いてる!?」
「………」
「良!はやく行こうよ!」
「…はるか」
本格的に断ろうとはるかの顔を見る。
しかし俺が名前を呼んだことで彼女の表情は嬉しそうだ。
どうしたものかと視線を外した時。
視線の先にいた人とばっちり目が合った。
…うそだろ。

