恋愛奮闘記







「早坂!お前ももう帰れよ。」

「はい、もう少しで区切りつきそうなんでちょっとしたら帰らせてもらいます」



今夜は大型の台風が来るらしい。

早めに帰るように、と上司から指示が出ていた。



次々と社員が帰宅する中、俺も帰る準備をする。




ふと、矢野さんのことを思い出す。

最近、彼女のことばかり考えている気がする…
まじで好きなんだな、俺。

この気持ちに感動すら覚える。

人を好きになれなかった自分が、今こうして彼女に見事にはまっている。


デートにも誘いたいし、もっと色んな話がしたい。
そうしてもう少し距離を縮めることが出来たら…

いつか彼女に気持ちを伝える日が来るんだろうか。



この前、一緒に飲みにいった時…

帰り際、彼女の様子が少しおかしかったような気がした。
理由はわからなかったけど。

でもそのあと何回かメールした時は特に変わった様子もなく普通に会話出来ていたし、俺の考えすぎなのかもしれない。



「お疲れ様でした」

「おーお疲れ」

上司に声をかけてフロアを出る。




「良!」

会社のビルを出たところで声をかけられた。



その人物を認識して、自然と溜息がもれた。