「…はるか」 その瞬間、ふいにこっちを見た彼と目が合った。 …ダメ! 逃げるようにその場を後にした。 気付かれちゃいけない、何故かそう思って。 息が切れるのもかまわずに走って。 走り出した時、彼が何か叫んでいたような気がしたけど振り返れなかった。 どれだけ走っただろうか。 「はあ…はあ…」 苦しい。 「はあ………っ」 息が上手く出来ない。 「う…っく」 急に走ったからだ。 最近運動不足だったし。 「……うぅ~っ」 喉が震えるのは、走ったせい。 この涙も、息苦しいから。