恋愛奮闘記




「お疲れ様〜」

「お疲れ様でしたー!」



お店を閉めて歩き出す。


ふと、途中で足を止めた。


食事した時に聞いた話だと、確か早坂さんの会社はここを右に入ったところだったような…。



何気無く、そこにあるビルを見上げる。
きっとこのビルのどこかのフロアで働いているんだろう。

って、また早坂さんのこと考えてるよ私。



初めて会った日から数え切れないぐらい考えてきた。

いつも頭の端っこの方に早坂さんがいて、ふとした時にど真ん中に来る。
そうするとそこからなかなか動いてくれない。



はぁ、と溜息をつく。




帰ろう、と足を進めようとした時。



見上げていたビルの方から声が聞こえてきた。




「どうして!?ねえ、良!」



少し距離があるのでよく見えないけど、男女が言いあっているらしい。



「一緒にご飯行こうっていってたのに!ちょっと、聞いてる!?」

「………」

「良!はやく行こうよ!」



…良?


目をこらしてはっとした。

あれは、あの横顔は…。