家の近くまで来た。
細い脇道に入って50m程のところで、早坂さんが足を止めた。
「着いた。ここ知ってる?」
「…初めてみました。家のすぐそばなのに、全然知りませんでした」
一目みて素敵なお店だとわかるそこは、木の扉の上に色とりどりの小さなランプが沢山灯されている。
入り口の脇にはインテリアの小さなベンチがあり、その上に溢れんばかりの花が飾ってある。
早坂さんが扉をあけるとカラン、と鳴った。
「いらっしゃいませ」
「予約してた早坂です」
「お待ちしておりました。こちらへどうぞ」
案内されてお店の奥へと進む。
テーブル席がいくつかあり、カウンター席の前にはたくさんのお酒がセンスよく並べられていた。
席について店内を見渡す。
「素敵…」
思わず声が漏れる。
「気に入ってもらえて良かった。
ここなら酒のんでもすぐ家に帰れるし、結構穴場だから来たことないかと思って。料理もすごく美味いし」
早坂さんが私のために考えて、こんな素敵なお店を選んでくれたことが嬉しくて仕方ない。
落ち着いた照明とゆったりとした音楽に囲まれて、リラックス出来る。
緊張せずに素直に楽しめそうだ。

