「だからさあ~、ほんと、もう忘れたいんだって!」
30分後。
シュウさん相手に愚痴る。
「おい司、お前今日飲みすぎだろ。水飲め水」
「私ばっかり期待してさあ、嬉しくなっちゃってさあ、馬鹿みたいじゃないー?ってか、馬鹿なんだよねー!」
「おいこら、無視してんじゃねーぞこのやろ」
「だから嫌なんだよね、恋とか愛とかさ、形のないものっていうの?」
「ばばあかよ…」
「仕事だとさ、頑張ったら頑張っただけ自分に返ってくるじゃん?特に美容師なんてハッキリ数字としてわかるし。恋愛なんてさ、頑張ったって結果はわかんないんだよ。一人で恋愛なんで出来ないじゃんー。相手が同じ気持ちになってくれる可能性なんてほんのちょっとしかないんだよ!わかる?」
「俺はお前より人生経験豊富なんだよ。えらそーに」
そういってシュウさんがお水をつきだしてくる。
「結局、向いてないんだよ、恋愛に。根本的に無理なの。」
もう変な期待なんてしない。
もしかして、なんて気持ちは持たない。
「怖いんだよ。傷付きたくないの。」
「司…」
「うん。そうだ。怖いの…」
頑張って報われないのが怖い。
期待して裏切られるのが怖い。
もうしばらく恋愛してこなかったから、こんな簡単なこと忘れてた。

