二人とも会計を済ませて外にでる。
「私の家ほんとにすぐそこなんです。この道をまっすぐ行ったとこのマンションなんですけど、早坂さんどちらですか?」
「あ、俺も同じ方向。」
横に並んで歩き出す。
会話がないのも嫌なので気になったことを聞いてみることにした。
「あの、こないだお店に来てくれた時と、雰囲気違いますね。」
「あー、そうかなあ。まあ初めていく店とプライベートとではどうしても少し違うかも。こっちが本当の俺。あ、言っときますけど、矢野さんも仕事中と今とじゃちょっと違いますよ?」
早坂さんがちょっと意地悪な顔でそう言った。
「うそ!なんか恥ずかしいですね、こういうの。隠してる部分を見られたみたいで」
「はは、隠してたんだ?じゃあ見れてラッキーかな」
え、えと、それはどういう…
歩きながら頭の中でグルグル考える。
今のこの状況、現実なのかな。幸せすぎるんだけど。

