「まさか矢野さんデート帰りですか?」
「えっ、そんな、相手がいません!店の近くで先輩と飲んでたんです。明日はお休みなので」
早坂さんの質問に苦笑いで返す。
「ああ、そうなんですね。遅い時間なんでてっきり…。俺もよくあの辺で飲みますよ。ほら、会社が近くって言ったでしょ?」
ああ、職場近いって言ってた。
「そっか、彼氏いないんだ…」
早坂さんかボソっと言ったけどよく聞こえなかった。
「え?すいません、なんですか?」
「いや、なんでもないです。それでなんでこんなところに?」
なんて言ったか気になるんだけど…。
「私、家がここのすぐ近くで。このコンビニはよく来るんです。眠れないときとか小腹が空いたときとかに」
「え?そうなんですか?俺も家がすぐそこなんですよ。このコンビニもよく来ますよ。うわ、ほんとすごい偶然だらけですねー、なんか親近感わくなあ」
「ほんとですか!?すごいっ家も職場も近いなんて!行動範囲一緒ですねー」
うそ、家まで近いなんて…
これはもう運命じゃないかな、なんて一人で舞い上がる。
私も、聞いちゃって良いかな。
「は、早坂さんこそ、デート帰りですか?」

