「ぶっ」
「わっ!きたなあ〜矢野!シュウさんおしぼりおしぼり。矢野がやらかした」
「おい司。お前きたねーなあ…」
「だっ…誰のせいだと…」
シュウさんがくれたおしぼりでカウンターを拭く。
あー、やられた。その話はあんまり触れてほしくなかったのに。自分でもまだよくわからないから。
「ねえねえ、気になってんでしょ?あの人のこと。一目見たときなんか、見事に固まってたもんねーもうおっかしい!」
橘さんが横でゲラゲラ笑いだした。
ひどい。あんまりだと思う。
「もうっ!何が言いたいんですかっ!」
「え?じゃあ単刀直入に聞くけど、惚れちゃったんでしょ?」
「えーーー直球すぎ!もうちょっとオブラートに包んでください、神様!」
「もうなんなんだあんたは!変化球でいったら何が言いたいんだって言ったのはあんたでしょ!だから直球で聞いたのに!」
うわー、おっしゃる通りだ!
「え、なに?司に男?」
シュウさん、入ってこないで、ややこしいから!これ以上この話題に人員増やしたくないよ!
だめだ、ちょっと酔ってきたのかもしれない。
とりあえず深呼吸してみる。

