営業後、橘さんと2人でお店から徒歩5分のバーに入る。
落ち着いた雰囲気で、お酒も美味しいので私達はここを気に入っている。
「いらっしゃい、カオリさん、司」
仲良くなったマスターが声をかけてくれた。
カオリというのは橘さんの下の名前だ。
「シュウさん久しぶりー!いっつも思うんだけどさ、なんで矢野は呼び捨てなのにあたしはさん付けなの!」
「いやーなんとなくね。はは。カオリさんは呼び捨てにしちゃいけない雰囲気があるんだよなあ」
「ちょっとなによそれ!あ、お酒いつものやつねー」
「はいはい」
すぐにカオリさんにジンライム、私にサングリアが出てくる。
「「かんぱーい」」
「今日もよく働いたねー矢野!」
「まだまだ橘さんには敵いませんよ!どうやったらあんなに早く回せるんですか!それなのに1人の単価は高いし…神様!橘さん神様!」
「はっはっは!まだまだ修行するがよい若者!」
それからお店のこと、お客様のことを話し合いながらどんどんお酒が進んでいく。
1時間程たったところでふいに橘さんの話がおかしな方向へいった。
「そういえばあんたさ、こないだの…誰だったっけ?はや…早坂さん?と良い感じだったじゃん」

