それからさらに何日かたったある日。
家の前にあの女が立っていた。
「良!」
「お前…」
はるかだった。
何故俺の家を知ってるのか、何故また会いに来たのか。
もう諦めたとばかり思っていた。
「久しぶり、会いたかった!」
そういって俺に抱き付いてきそうになる女を全力で避けた。
「良…ひどい!ちょっとぐらい良いじゃない!」
「良くねえ!…何しに来た」
そう言うとはるかはニッコリ笑ってみせた。こういう時のはるかはロクなことを言わない。何もかも自分の思い通りになると思ってる顔だ。
「ねぇ、良。私やっぱりあなたが好きなの。私、色々考えて…今まで本当にひどいことをしたと思ってる。反省したの」
嘘だな。
反省してたらのこのこ会いに来れないだろ。
「もうあんなことしない。あなたさえいればそれだけで良い。だから…」
少しずつ距離を詰めてくる。
「もう一度、私と付き合って…?」
「嫌だね」
「どうして?」
「俺はお前のことは好きじゃない。付き合うとか考えられないから。じゃあな、もう二度と会いに来んなよ」
そう言って去ろうとした俺に、はるかが言った。
「やっぱり…あの子のことが好きなの?」

