「会いたい………」
押し込めることの出来なかった気持ちが言葉になって零れ落ちた。
会いたい、会いたい。
どうしたって忘れられなくて、終わらせたいのに完全に終わらせたくなくて、声が聞きたくてぎゅって抱きしめて欲しくて。
行動と感情が一致しない身勝手すぎる私。身勝手すぎるからこそ、お店が元通りになってももう会えないと思ってた。
もう何も望んじゃいけないと思ってた。
…守りたいものが二つある時、どっちも守り切れるかどうかは、周りが決めることじゃない。自分の行動が決めることだ。
「私…会いに行く」
ぽつりと呟いた言葉を、みんなは拾ってくれた。
「行ってこい!」
「思うままに行動したら良いんだよ」
「また明日から笑顔で出勤してくださいよ」
「…司。迷うな」
私はまた、みんなに背中を押される。
自分だけじゃジリジリとしか動き出せない私は、それを反動に走り出す。
彼の元へと。

