その瞬間店内はシーンとなって、皆驚いてこっちを見ている。
「あ…」
まずい。
今日はせっかくのお祝いなのに私のせいで雰囲気を壊してしまう。
「あ、えと、付き合うとか無いんです。もう終わったことなので…」
「え?矢野…」
「ほんとに、もういいんです。よく考えたらやっぱりそんな好きじゃなかったかもーなんて…はは。だから告白もしないし、早く次の人見つけますー」
ははっと笑う私の顔を、店長、橘さん、岩佐くんが心配そうに見ている。
シュウさんは相変わらずこっちを睨み付けている。かなり恐い。
もうこの際、変に思われたって良いから何も聞いてきて欲しくなかった。話せば話すほど嘘だってバレる気がするから。
今も電話とメールが届いている私の携帯は胸が痛くて見られない。だけど着信拒否をしない私は、なにを期待してるのだろう。こんな気持ちで次の恋になんていけるはずないのに。
「はい、もうこの話は終わりです!皆さん次何飲みますか?」
皆私の気持ちを察してくれたのだろう。それ以降その話には触れず、飲み会は楽しく続いた。

