「でもさ、復帰早々にこんなにお客様来てくれるなんて嬉しいね。待っててくれてたって感じで」

橘さんの言葉にみんな頷く。

「ほんとにこの仕事続けててよかったって思えたし、楽しかった。スタッフみんな良い顔して働いてたしね」

「休業してたからこそ気付くことが結構あったわね。お店を初めてオープンした時のこと思い出した。初心に帰れたって感覚だったわ」

みんなお酒が進んで、話も弾んだ。
シュウさんも珍しくニコニコしながら話を聞いてくれていた。



今日の店内はなかなか賑わっていた。仕事帰りのサラリーマン、OLさん…みんな飲みながら話すのは仕事の話ばかり。

それぞれが色んな方向で、働くということの意味を探している。自分が今の仕事をする意味を探している。

仕事を頑張れるのは、やっぱり自己有用感があってこそだと思う。自分は会社に必要とされている、自分にしか出来ない仕事がある…

そういう意味では、今の私の仕事はとても誇れるものだった。



やっぱり私には、これを手放すことは出来ないのだ。