店長、橘さん、岩佐くんの顔が浮かぶ。
みんなの辛そうな顔を思い出す。
みんなで一緒に、なんで営業再開出来ないのかなって話した。
その原因は、私だった。
あの台風の日。
みんなでショックを受けながらお昼ご飯を食べた。
『お店のために動きます!一緒に働かせてください!』
そう言った私自身が、ぶち壊した。
大切にしてたのに。
そして、早坂さんの顔が浮かんだ。
このことは、彼には言えない。
お店が復活するのを自分のことのように待ち望んでくれて、また髪を切って欲しいと言ってくれたあの人に、どうしたって言える訳がない。
…敵わない。
受けてたってやろうと思った。
私にだって譲りたくないものがあったから。
だけど結局私は、はるかさんに敵わなかった。
だって私にとってあの場所は、大切すぎるから。
何よりも守りたい場所だから。

