向こう側

「もう終わるのか?」

「あ、はい。もう少しできりのいいところなんです。
ここまでくれば、あとは月曜日でも大丈夫かなと思います。」

そうか、と一頷きする遠藤さん。

「遠藤さんはもう帰られるんですよね?」

「おーそうだな」

内心、帰っちゃうんだと残念な気持ちを抑えながら

「お疲れ様でした。」

と笑顔で告げた。


よし、やるか。と気持ちを切り替えようとした。

したけど。

さっきから視線を感じる。

あれ?

遠藤さん帰らないのかな?

よく考えたらここは2人しかいない。

な、なんであたしを見るんだろうか。



ずーっとみられると恥ずかしい。

あたしはいたたまれなくなって、

「どうかしましたか?」

と、声をかけた。