「少し道を教えて欲しいのですが」
何だそんなことか。てっきり告白されるのかと。冗談です、ごめんなさい。
まあ、ここはまだ僕の地元と呼べる範囲内だし、毎朝ここを通っているから、大抵の地理は把握している。
なので僕は
「いいですよ」
と、返事をした。
「市立北高というところなのですが」
……ん?聞き間違えかな。
元気良く答えた手前、怪訝そうな感じで固まってしまった僕に対し、彼女の方も怪しものを見るようにこちらを見ている。いかん、なんとか話を戻さなくては。
「ああ、市立北高ですね。僕も通っているので、案内しますよ」
と、そこまで答えて……ふと僕は彼女が着ている制服が僕たちが通う北高の制服であることに気がついた。
「よかったあ〜。私転校生なんですけど、道に迷ってしまって……資料で見た制服を着ていたのでもしやと思ったんですけど、やっぱり北高の方だったんですね!」

