翼に追いつこうと思って走って行ったものの…、

 学年トップの走りの速さにはついていけん!

 翼は、この高2の学年で一番早い走るのが得意な奴なのだ。

 ま、私は翼の次の次の次…くらいに速いかな…。


 ドンッ

 「ぎゃっぁ!」

 前しか見ないで走っていたら、誰かにぶつかった。

 「ごめんなさっ……い…」

 ぶつかった人は、
  綺麗な真っ黒の瞳で、綺麗な黒髪、長いまつ毛……

 び…美形男子……。


 「何、見とれてんだよブス」


 ブ、ブスですって?!

 「な、何よっ!その言い方ッ…というか…ごめんなさい…」

 こんな感じの人には、ごめんなさいと、素直に謝った方が良い。


 「わかればよろしい」


 ぶつかった人は、「よっこらしょ」と言って、どこかに行ってしまった。


  あの人の頭の上にオオカンが、一瞬、頭の上にのっているように見えた。

 超、大サマ系男子だ…


 あ、翼の事忘れてた!!


  早く見つけて、早く写真を消さなければ…。


 よっこらしょっと…立ち上がってもう一回探そうとした時、


 「あ!綾乃、発見!」

 「美菜ちゃん!!」

 同じクラスの、吉永 美菜子(よしなが みなこ)が走って来た。