その瞬間【とき】だった。


『お!い、そこの女!』


ああ、これ で

楽になれる……。


俺のからだは 勝手に
暴れまわって

ひとつの怪奇 事件まで
人間の世界で

引き起こしていた。


罪のない、人間に
宿り、誰かまわず 殺めていった。


そんな 俺は 苦しみに
支配され続け……。


完全に 自我【われ】を
見失っていた。