タオルと保冷剤を持って戻ると、とても心配したみんなの中に、人一倍心配する綾女ちゃんの姿が見えた。
チクリと心が痛んだことは、今気にする必要はないよね。
「先生は?」
輪の外側にいた男子に声をかける。
「まだ来ないんだよ。たぶんさっき用事があるって行って職員室に行ったから、まだそこにいると思う…」
職員室……。
グラウンドのここからじゃ、行って戻ってくるまで、多少時間はかかる。
「とりあえずタオルで日陰作ってあげよう」
あたしはバスタオル並のタオルを蘭子と持ち、蒼生に日陰を作った。
それから布で包んだ保冷剤を首にあててあげた。
たぶん熱中症とか、そういうのでしょう。
どこから持ってきたのかわからないけれど、うちわで懸命にあおぐ人もいて、なにもしないよりはいいよね。

