これでも好きなの

そんなこんなでもうじき始まる大会。




トラックのほうでは着々と準備が進んでいる。




ハードルを並べ始めているし、はじめはどうやらハードル走みたい。





「あ、ハードル走って拓也くん出るじゃん!」




「拓也くんって……あぁ、蒼生とよくいる人か」




「まあまあかっこよくない?あ、でもやっぱりあたしは涼くんが好きだけどー」






……あ、そう。




ちゃっかり流すあたしは冷たいのかな。




……いや、これでいい。うん。





「あ!始まった~!」





蘭子の声で視線を向けると、確かにひと組目がスタートしていた。




みんなそれなりに、速い。




それにしてもハードルって、こわくないのかなぁ……って思う。




あたしは体育で倒しちゃって転んだ経験があるから、なおさらだけど。