これでも好きなの

「なんだ。涼くんね」




「ちょっとちょっと～！なにその言い方！」




「だって、そんなのいつも聞いてるんだもん」




蘭子のいう涼くん、とは……。



男性アイドルグループである《Sun!Sun!Sun!》の滝川涼くんのこと。



いや、まあかっこいいと言えばかっこいいけど……。




それにしても、蘭子の涼くん魂はやばい。



ってそれよりも、あたしは……数メートル離れたところにかたまってる女子たちの会話が気になってしかたない。




「中原綾女ちゃんでしょ？」



「うわ～！綾女ちゃんには勝てないわ～」




……中原……綾女。



なんとなくはわかるような……？




「ねえ、中原綾女ちゃんって……かわいいこ？」



「え？綾女ちゃん？かわいーよー♪」



すっかり涼くんワールドに入り込んでいる蘭子は、若干上の空なかんじで答えた。



「そっかぁ」



「うん♪……涼くんのあのダンスのキレ！かっこいい……」



あ～……こうなると当分帰ってこない。




綾女ちゃんって……やっぱりあの子だよね。



学年でトップクラスのかわいい子。





そのあともなんだかその話が頭の中を支配していた。