____6月に入ったある日。




「……ねっ、ねぇ!」



「ん?おかえりー」




授業の間の休み時間、トイレから帰ってきた蘭子。



だけど、様子がおかしい。



焦っているような、驚いているような……?




「……どしたの?」



あたしはシャーペンに芯をいれながら聞く。




「あ……あのねっ、今さっき聞いたんだけどね……」



……そこまで言うと、蘭子は俯き黙ってしまった。




「蘭子……?」



「福山くんが……っ!」




え、蒼生が……?



蒼生がどうしたの?



……そして次の瞬間、蘭子の口から出た言葉にあたしは衝撃を受けた。





「福山くん……彼女、できたんだって」




「え……」




なぜか蘭子は悲しそうに、今にも泣きそうな声でそう言った。