これでも好きなの

いつの間にか食べ終わっていたお弁当をしまい、そのゼリーのふたをあけた。



その瞬間、ふわっと広がるぶどうの香り。




「……いただきます」




そう小さく呟いたあと、口をつけた。



小さいから、一口で。



やっぱりこのサイズ一つじゃ物足りない。



だけどなんだか、気持ちは満足してたんだ。




「蘭子、戻ろう」



「うん!」



そろそろ昼休みが終わる。



あたしたちは立ち上がり、ドアの方に歩きだす。



そのとき男子たちの横を通ったのだけれど、ちらりとあいつを見れば……。




あっかんべーをしてこっちを見てきた。



腹立つわ~!楽しそうにしちゃって……っ!