これでも好きなの

「今日の飯なんすかー?」



「はぁ?」




突然こっちに近づいてきたと思ったら、あたしのお弁当を覗きこんできた。




「えーつまんな!海苔巻き入ってたら共食いだなーと思ったのに」




ふっ……!




「どんなこと考えてんのよ……っ」



「つーわけで、……もらいー!」




目の前でお弁当箱から卵焼きが連れ去られていく。



「ちょ、ちょっと!なにしてんのバカ!」



あたし卵焼き好物なのに……!



「え?もらった~」



ニコニコ笑顔の蒼生の手には、もうあたしの卵焼きちゃんはいなかった。



「バカぁ~……」



「……え、ごめん。泣くほど悲しかった?」



「泣いてないっ!」



キッと睨むとけらけらと笑う。




……むかつく。