サヨナラからはじめよう

「でもなんでここに・・・?」

そう。最大の問題はそこなのだ。
勘違いでなければさっきすぐ隣で司が寝ていた気がする。
まさか、具合が悪いのをいいことに・・・?
なんて一番最悪なことを勝手に想像している私を見て、司は困ったように笑った。

「その、夜中にタオルを替えに来たら涼子さんが僕の服を掴んで離さなくなって・・・そのまま横にいたんですけど、僕も段々睡魔に負けてしまって。申し訳ないなと思いつつベッドに寄りかかるようにして眠らせてもらったんですけど・・・・・そうしたら・・・」

そこで何故か言いづらそうに言葉を詰まらせる。
・・・・なんだか嫌な予感がする。
聞きたいけど聞いてはいけないような、そんな不吉な予感が。

「そうしたら・・・・・・?」

「そうしたら・・そのうち寝ぼけた涼子さんが僕にしがみついてきて、それがすごい力で・・・無理やり引き剥がすのはどうしてもできなくて、だからそのまま・・・・すみません」


あ、あ、あり得ない・・・・
一体何をやってるんだ自分は。
でもこの男が言ってることは嘘ではないのだろう。
うっすらとだがそんなことを言っていた記憶があるのだから。