サヨナラからはじめよう

「気分はどうですか？まだ熱が高いからぼーっとするでしょう？」

司はそう言いながら枕元までやって来ると、額に置かれたタオルを取り替えた。
ひんやりして気持ちいい。

あぁ～やっぱり夢の中なんだ。
全てが昔のままだ。

もうずっと見ていなかった司の夢を見るなんて、
私は一体どうしちゃったんだろうか。
･･･あぁ、そうか。
別れて以来会ってなかったあいつに会ったから、
それで急に記憶が蘇ってしまったのだろう。


「飲み物飲めますか？もし何か口にできるなら少しでもいいから入れた方がいいです。ちょっと持ってきますね」

そう言って立ち上がった司の服を掴んだ。
司は少しだけ驚いた顔で振り返ると、優しい顔で微笑んだ。

「どうしましたか？」

「･･･････で」

「え？」

「････行かないで･･･」

その言葉を聞いた司の顔色が変わる。