「お願いしますっ、助けてくださいっ!!」

「ちょ、ちょっと・・・!声が大きいからやめてください!」

「あなたしかいないんですっ。助けてくださいっ・・・・!!」


なっ、なんなのなんなの?
世界の中心で愛を叫ばずにマンションの前で土下座で拝むってか?!
私が一体何したっていうのよ?!
こいつと離れてようやくせいせいした平穏な生活を送っていたっていうのに。

しかも僕は誰って?
そんなの知るかよ!
っていうか一体何なのよ~!!


「自分の事がわからないんですっ。でもあなたを見たら何故か体が勝手に動いて・・・っ」

「そんなの私には関係ないですから!迷惑なので離してくださいっ。警察呼びますよ!」

いつの間にか再び掴まれていた足首を必死で払おうとする。

「うぅっ・・・」

最後の一言が効いたのか、男は突然涙目になって急激に萎れていく。

「あなたしか・・・もうあなたしか頼れる人はいないと思ったのに・・・うぅ・・・」

「ちょ、ちょっと、泣くとかやめてくださいよ・・・はっ!」

ふと視線を感じて辺りを見回すと、いつの間にか騒ぎを聞きつけ数人が集まっていた。
土下座で女にしがみつき今にも泣きそうな男とそれを足蹴にしている女の図。
・・・これはどう見てもマズイ。

「いやっ、違うんです、これはですね・・・!~~~あ~~もう!!ちょっと来て!」

男の首根っこを捕まえてそのままずるずるとマンションの中へと消えていった。