「ちょ、ちょっと・・・!」

「・・・すみません、ここはどこですか・・・?」

反対の足で踵落としを食らわそうとしていたまさにその瞬間、情けないほど弱々しい声で呟く声が聞こえた。

「は?」

「ここはどこですか・・・?」

「・・・あんた、何言ってんの?」

「どうしてここにいるかわからないんです・・・」

「・・・はぁ?」

この男は一体何を言ってるんだ?
3年ぶりに突然目の前に現れたかと思えばここはどこ、だと?
それはこっちが聞きたいよ!
何でこんなとこにいるんだってね!!

「あなたは僕のことを知ってるんですか・・・?」

「え?」

「僕は・・・僕は誰なんでしょうか・・・?」

「・・・」


何これ。
何なのこの漫画みたいなシチュエーション。
悪ふざけにも程があるんじゃない?
こんなことがしたくてこいつは私の目の前に現れたってわけ?


「・・・すみませんけど失礼します」

怒りに震えながら手を振りほどきその場を立ち去ろうとした瞬間、寒空を切り裂くような悲痛な声が上がった。

「助けてくださいっ!!」